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西風のくれた鍵



アリソン・アトリー 作
石井桃子
  中川季枝子 訳

岩波少年文庫

672円


182P 18センチ


アリソン・アトリーの物語の
もうひとつの主人公は、いつも、自然です。

「グレイラビット」のような、かわいらしい動物の幼年童話でも
「時の旅人」のような本格的なタイムファンタジーでも
この物語集のような、妖精物語でも。


小さな少年が、西風がなぞかけとともに落としていった木の実で
木の扉をひらき、ずっと昔から言い伝えられている木の秘密をのぞく
表題作は、自然がほんとうの主人公。

魔法や人間は、脇役のような・・
とても短いのに、おおきな、おおきな広がりを感じる物語です。

静かで、幻想的で、力強い。

わたしたちを安心させてくれる、偉大な自然の力をかんじます。


表題作のほか
動物のことばがわかる、妖精のスカーフを拾った少年が
うまくして魔法のビー玉をしとめる「ピクシーのスカーフ」、
北の国の王さまとお妃さまの子、雪むすめが
人間の男の子に焦がれる「雪むすめ」、
貧しいけれどよい心をもつ年寄りの鋳かけ屋が
自分のつくったふしぎな像で宝を掘り当てる「鋳かけ屋の宝物」、
気だてのいい娘が、不思議なスパイス売りのおばさんに見込まれて
素敵な家庭を手にする「幻のスパイス売り」、
家族とはなれ、妖精のもとにお嫁にいった少女の
しあわせで、切ない、切ないおはなし「妖精の花嫁ポリー」
の6つの物語がはいっています。

明るく、幻想的で、力強い。
妖精の音楽のような、物語集です。