| > バックナンバー | > 10月のことり便 | ||||||||
|
お母さんにかわり、寝たきりのおばあちゃんの 夜中のトイレの付き添いをすることになった、コウコ。 その役目をひきうけることで 飼うことの許しのでた熱帯魚のモーター音が、 夜の空気をしずかに揺らし、何かが、覚醒しはじめる。 そうして扉のひらかれた、 熱帯魚と、コウコと、おばあちゃんの 密やかな時間は、ゆるやかな流れをつくり・・・ 進学校に通うコウコは、 ものごとのよく見える聡明な少女で、 ひそかに情緒不安定、カフェイン依存。 寝たきりのおばあちゃんは、 旧家で育ち、ミッション系の女学校に通い、 そこで自らのつけた小さな傷を、胸の底にかくす。 交互に語られる、コウコの今と、 おばあちゃんがさわちゃんだった、昔から、 ぽたり、ぽたりと、落ちて、あつまる、思考が、 夜中の濃いコーヒーのように ゆっくり、ゆっくりと、沁みていきます。 秘密を守るような、しっかりと固い箱にはいった 本の作りも、この物語にとても似合います。 |
||||||||