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クレーン男



ライナー・チムニク 作
矢川澄子 訳

パロル舎

1785円


172P 19センチ


町がしだいに広がるにつれ、さばききれなくなった
荷箱や石炭や、牛やブタを積み替えるため、
市会議員たちは、クレーンを一台、据え付けることに決めた。

クレーンの製作に、たくさんの男たちが雇われ、やってきた。

その中に、だれよりもクレーンにほれこんだ男がいて、
みんなは、彼を「クレーン男」とよんだ。

やがて、クレーンが完成しても、クレーン男はそこにいて、
彼のあざやかなクレーンさばきをみた
市会議員たちは、クレーン係に任命した。

クレーン男は、とてもよろこび、
それからは決して、地上におりてはこなかった。

クレーンの上で寝て、クレーンの上で目を覚まし、
クレーンの上から、友だちのレクトロと友情を確認し合い、
クレーンの上から、いくつかのトラブルを解決した。

月日が流れ、いつか、地上の様子がおかしくなってきた。
戦争が、忍び寄ってきたのだ。

戦いがはじまり、終わり、そしてこんどは
水が押し寄せてきて、海が国中をおおってしまっても
クレーン男は、孤独とともに、クレーンに居続けた。

クレーン男は、クレーンに、居続けた。


どんなジャンルにも属さない、独特の絵物語。

胸に深く焼き付き、運命の1冊になる可能性が、あると信じます。