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少女ソフィアの夏



トーベ・ヤンソン 作
渡部翠 訳


講談社

1680円


301P 19センチ


7月の早朝。
ベランダの前の茂みに、入れ歯を落とし
探しているおばあちゃんに、ソフィアが声をかける。

やっとみつかった入れ歯を、入れるとこを見られるのを拒みながら
鮮やかにカパッとはめるおばあちゃんに、ソフィアは、聞く。

「おばあちゃん、いつ死ぬの?」

そして、ふたりは、父親に禁止されている危険な岩の岬へ、
おばあちゃんを先頭に、朝の美しい散歩へ出かけるのだった・・

・   ・   ・

夏の間の数ヶ月間を、フィンランド湾の多島域の沖にある
ちいさな岩の島で暮す、ソフィアと、おばあちゃんと、パパ。

多感で無垢な少女、ソフィアは、そのほとんどの時間を、
自然と、自分と、おばちゃんを相手に過ごします。

そのすべてに、全身全霊を、まっすぐにぶつけながら。

よき遊び相手、ケンカ相手でもあるおばあちゃんは、
少女が、恐怖や、怒りや、憎しみとも向き合わなくてはいけないとき、
気づかれないようにそっと手をさしのべます。

不器用ながら、ソフィアも、しかり。

成長し、老いるという、当たり前のことを認め合い、
お互いの尊厳を守り合うこと、
ぶつかり、受け入れ、時には、がまんをし合うこと。

荒々しい自然の中で育まれた、ふたりの関係は、清々しく、
変化はあっても決してこわれることなく、たくましいです。

印象的なエピソードや、会話で編まれる物語ですが、
親愛をこめて描写される、美しいフィンランドの自然と同じく、
小さな石ころ、感情、言葉のひとつひとつがそこにあることが大切で、
どれひとつ欠いても、とりだしても、成り立たちそうにないので、
ぜひ、読んでみてくださいね。