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| 海のたまご | ||||||
| 休暇を過ごすために、家族でコーンウォールにやってきた トビーとジョーの兄弟は、ある日、 海で拾われたというたまごの形をした石と出会い つよくひきつけられることになります。 そして、そのたまごを手に入れ ふたりの秘密の入り江に沈めてみたときから、 ゆっくりと不思議なことが起こりはじめ・・・ ![]() コーンウォールの海を舞台に、 ふたりの兄弟と海の子トリトンとの交流を描いた物語です。 トリトンとは、男の人魚のこと。 人魚がでてくるなんて確かに不思議なお話、ファンタジーですよね。 でも、読んでみるとそのように感じず とても自然なことのように受け入れてしまうのは、 おおきな自然が、物語のもうひとつの主人公として しっかりと描かれているからでしょうか。 本物の自然の中では、 なにが起こっても、それほど不思議には感じませんもの。 この物語には、他に、 ふたりの両親や何人かのおとな登場しますが、 彼らは本当にただの脇役でしかありません。 ほとんどの出来ごとが、ふたりの男の子とトリトンと自然の中で起こるので、 とても静かで、内密で、丁寧です。 そしてすばらしいことに、この作者の大きくひらかれた目とこころを通して わたしたちだけは、その輪の中に入っていくことができるんです。 とくに、クライマックス。 音も会話もない厳かな場面が続くなか 五感がいきいきと冴え、自然のたてる音が聞こえ、 耳元でとろりとしている水の感覚や 夜の海のしめった空気のにおいがよみがえり、 いつのまにかふたりの男の子と一緒に息を詰めて胸を高鳴らせることは、 なんて、得難い体験・・! 自分が水にぬれていないのが、いちばん不思議なことみたい・・です。 わたしは常に現実のかくある姿を探索することから始めます。 そして想像力が現実をどれほど拡大できるかを内側から見ることにつとめます。 ファンタジーからはじめて、それをつりさげる止め金をあとで探すことはしません。 これは、あとがきで訳者が引用している、作者のことばです。 今、あふれるファンタジー作品を見渡すうえで、 この言葉は、ひとつの指針にもなるかもしれません。 この物語は、ながく、版元品切れ中です。 残念・・ ぜひ、図書館で探してみてください。 ことり文庫にも、店内閲覧用においてあるので、 とっても時間のあるときなど・・ 読みにきてくださいな。 ”海のたまご” ルーシー・M・ボストン 作 猪熊葉子 訳 岩波少年文庫 品切れ |
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