おとな・ヤングアダルト <
ピアノ調律師
「ルーベン、人生で自分の好きなことを仕事にできる以上に
 しあわせなことがあるかい?」



明るく健やかな少女、デビー・ワインストックは、
両親をなくしてからというもの、おじいちゃんのルーベン・ワインストック
といっしょに暮しています。

ルーベン・ワインストックは、とても腕のいいピアノ調律師です。

デビーをひきとることになったとき、
町の奥さんたちは、男やもめに子育てができるのかと心配しましたが、
彼は、こう、言いいました。

「でも、わたしは音楽を知っています」

デビーに、ピアノを教えることができる、と。

おじいちゃんは、デビーをピアノの演奏家にしたいと
思っていましたが、デビーの腕前は、なかなか上達しません。

デビーは、素晴らしいピアノ調律師であるおじいちゃんのように
自分もなりたいという想いで、こころがいっぱいなのです。

デビーにとっては、どんなすばらしい演奏よりも、
ピアノを調律する音が、いちばん美しい音楽なのです。

そんなある日、町の演奏会に、ルーベンの古い友だちで
有名なピアニスト、アイザック・リップマンがやってきて・・・

    ・        ・        ・

職人のひかえめな誇りと、デビーへの愛情と。

そのふたつの目をもつおじいちゃんのこころを、
それぞれの役割に敬意をはらうことを忘れないおとなたちのこころを、
デビーのひたむきさが、動かしてゆきます。

最初にあげたのは、デビーの演奏を聴き、
デビーの夢を聞いた、リップマンの言葉です。

様々な形で、それぞれのこころに、まっすぐ届く言葉です。

わたしは、しあわせにも、好きなことを仕事にしましたが、
それを当たり前だと思ってしまうのは、傲慢。

どんなに多くの人の応援があって、こうしているのか、
そのことが、どんなにしあわせで、大切なことなのか、この言葉で思い出します。


読み終わったら、カバーをそっとはずしてみてください。
丁寧な仕事への、たくさんの想いのつまった本です。



「ピアノ調律師」

M.B.ゴフスタイン 作 末盛千枝子 訳 すえもりブックス 1890円


ゴフスタインの絵本  生きとし生けるもの
           ゴールディーのお人形
           私の船長さん