おとな・ヤングアダルト <
森の絵本
わたしたちは、成長します。

新しいものと出会って、
いままで知らなかったすてきなものを、ひろいながら、成長します。

あんまり、新しいものをひろうことに夢中になりすぎると、
昔もっていた大切なものを、落としてしまっているのに、気がつかないこともあります。

でもね、そういう時も、必要かもしれないです。

でもね、見えなくならないうちに、振り返れないと
わたしの一部を、なくしてしまうようで、ちょっといやだな。




荒井良二さんの描く、
透きとおって、深く、涼しい、森の入り口。

その透明さが、もうなつかしくて、ふと足をとめる。

どこかで呼ぶ声がしたような気がして、
ちょうちょのあとについて、森の中へ・・

どこまでも続くと思った森は、途中でひらけ、
そこにあるのは、いつのまにか、こころの下の方に追いやりかけていた、
ゆっくりと流れる川の、水の輝き。
ほほえんだみたいな、花々の色。
クッキーの焼けるにおい。
なんべんも繰り返し読んだ本。
未来を夢見た窓。

みんなみんな、この間までもっていた、大切なものたち。


振り返って、みつけたものが、まだ、キラキラしていたのなら、
よかったじゃない・・と、思います。
たとえ持ちきれなくて、今は拾えなくても、
その森の場所を覚えているのなら、いつでも行かれるのなら・・・

その森は、ずっとずっと、静かにそこにあるのだから。


森のいりぐちの不思議な声が、きこえるうちに、
ちょっとためしに、でかけてみませんか・・?



”森の絵本”
長田弘 作 荒井良二 絵 講談社