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| ヴァン・ゴッホ・カフェ | ||||||
| もっと若い頃、まだハタチになりたての頃、 最初にこの物語を読んだときには、まだ、わかっていませんでした。 めったにおきない、奇跡のようなことを だれかが起こしてくれるのを、まっていた頃。 でも、いまは、ヴァン・ゴッホ・カフェの魔法がわかります。 わたしも、自分で魔法を見つけられるかもしれないこと、 もしかしたら、おこすこともできるかも、しれないことが、わかります。 いちばん大切にしたい魔法は 空をとんだり、呪文を唱えたりすることではなくて、 たとえば、赤ちゃんの笑い声が音楽にきこえるようなことだと、わかります。 ![]() ヴァン・ゴッホ・カフェは むかし劇場だった建物のかたすみにあります。 持ち主は、マークという若い男で むすめのクララが、手伝いをしています。 ヴァン・ゴッホ・カフェの魔法は、 壁にかかった「愛犬、大歓迎」の札からも パイの回転皿からも 女性用のトイレに描いたアジサイからも ちいさなレコードプレーヤーからも、やってきます。 ヴァン・ゴッホ・カフェでは、みんなが、その魔法に気づき、 気づいたみんなが、魔法の影響をうけるのです。 魔法は、たとえばこんな風におこります。 ある日、窓のそとに1匹のオポッサムがあらわれ、 日に日に見にくる人がふえ、 見にくる人たちが仲良くなり、 ほかの動物たちも食べ物にありつき、 そのことが、ひとりの人の人生をかえること。 いなずまがひかり、 マークの料理が完璧になり、 生まれた余裕で詩に夢中になり、 その詩がお客さんにに小さな幸せをはこび、 (または、お客さんが詩の中に自分の小さな幸せをみつけ) そのことが、少年と猫をすくうこと。 ヴァン・ゴッホ・カフェの魔法は 誰かの気持ちの宿っているところなら、どこからでもやってきて、 人から人へ、つながっていき、 必要としている人のところに、運ばれます。 それは、だれか一人のために唱える魔法の呪文よりも もっと、もっと、ドラマチックです。 魔法を信じられる場所。 自然に魔法がおこる場所。 いつか、そんな場所になれば・・・ むかしパンやさんだった建物にだって、 宿っていても、いいですよね。 ”ヴァン・ゴッホ・カフェ” シンシア・ライラント 作 中村妙子 訳 ささめやゆき 絵 偕成社 1050円 |
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