日本の絵本 <
てがみをください
梅雨って、なに色でしょう。

雨つぶの水色。
雨の日の風景の、青味がかったグレー。
色とりどりの、傘の色・・・

わたしにとって、梅雨は、青梅色かな。




この絵本は、雨はあまりでてこないのですが
かえるがでてくるのと
全体が鮮やかな青梅色で描かれていて
それがとても印象的なのとで
なんとなく、わたしには梅雨の頃のおはなしに思えるのです。


あるひ、ぼくのうちの郵便箱に、かえるが1ぴきもぐりこんでいた。
郵便箱のうちがわに、白いペンキをぺたぺたぬりながら
「きょうは ひっこしで いそがしいんだ。
 かえった かえった。」
なんて言っている、ちょっとえばったかえる。

つぎのひ、手紙をとりにいくと
かえるがめがねをかけて、ぼくに届いたはがきをよんでいて
ぼくがおこると、けんかになった。

じゃあ、どうすればじぶんにも手紙が来るのかって
たずねるかえるに、ぼくはこう教えてやったんだ。
「そりゃ、じぶんからも てがみを かけば いいのさ。
 てがみを くださいって。」


それから、まいにちまいにち
強がりを言いながら、さも手紙なんてどうでもいいふりをしながら
かえるは待っていますが、手紙はきません。
そしてとうとうある日
「どうも ここの うちは、
 てがみに すかれていないらしい。」
と言い残して、荷物をまとめて出て行ってしまいます。

かえるは、てがみをかかなかったの・・?

ううん。

かえるがいなくなったあとに
郵便箱から出てきたのは・・


本を閉じても終わらない物語は
雨ふりの日はとくに、ほわほわと、広がっていきます。

切ない余韻を抱えて
かえるのことを想って、ぼくのことを想って
どうにかハッピーエンドにみちびいてあげたいけれど・・

ふたりのすれちがいは
もとにはもどらなくても、でも
広がっていった先には、あたたかさがあるみたいです。

だから、これは、
切なくてあったかい絵本です。



てがみをください”
山下明生 作 村上勉 訳 文研出版