日本の絵本 <
そのつもり
ここは 森の なかです。
かぜが ソヨソヨ ふいて います。
森の なまえは ”そのつ森”。





そのつ森では、動物たちの会議が
ずうっと開かれてきました。

森にある空き地を、どんなふうに使えばいいのか、
話し合う会議です。

でも、もう、何年も何年も、決まりません。


きょうも、会議で、みんなは、アイディアをだします。

穴をほって、温泉にしよう、とか
山よりも高いものを、つくりたい、とか
海にしたい、とか、オバケを住ませたい、とか。

そのたびに、みんなで、じっと”そのつもり”になって、
「いいねぇ、それ」と、言い合うのです。

 ・   ・   ・

きっと、このあき地には、これからもずっと
なんにもできないのだろうな、と思います。

だって、もし、なにかができてしまったら、
”そのつもり”になって、みんなで「いいねぇ」って
言えませんもんね。

なんにもつくらないって、決めてしまうのも、つまらないのです。

決めてしまったら、やっぱり、一生懸命”そのつもり”に
なることは、もう、できませんもんね。


森を、どんな形にも変えることもできる、空き地。

いいねぇ、それ。

わたしも、ひとつ、作ろう。

いいねぇ、それ。



「そのつもり」

荒井良二 作 講談社 1680円