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| おおきなもののすきなおうさま | ||||||
| 花屋さんに、うすい、きれいな色の チューリップがならびます。 たくさんの花の名前をおぼえた今でも、 やっぱりとくべつな春の花。 歌でうたったのとおんなじ。 小学校の花壇に咲いていたのと、おんなじ。 チューリップ、チューリップ。 ![]() むかし ある ところに、 おおきな ものの すきな おうさまが いらっしゃいました。 おうさまは、なにしろ おおきな ものが すきでしたから、 やねよりも たかい べっどで おめざめに なると、 ぷーるのような せんめんきで かおを あらい、 にわのような ひろい たおるで かおを ふいて、 やっと 一にちが はじまるのでした。 カチカチとおおきな音で時を刻む、大きな時計に、 滑車じかけでつられているおおきなスプーンとフォーク。 門にもはいらない、おおきな板チョコレートに、 おおきな釘抜きを利用したおおきなとりかご・・ 大きな時計でも、小さな時計でも、 刻む時間は同じ。 どんなに大きなお皿に盛っても、 王さまのたべられる量は、ほんのこれっぽっち。 大きな鳥かごにはいるとりだって、ふつうとかわらないのですもの。 (これは、じきに、すこし役に立ちましたけれどね。) でも、王さまは、ある日、また たいへんなことをおもいつきます。 庭をほって、大きな池をつくり、 その土で大きなうえきばちを作るというものです。 そして、完成した、お城よりも大きなうえきばちに、 チューリップの球根をひとつ、うめました・・・ ・ ・ ・ 春がくるたびに、いつもと同じようすで佇む チューリップの、頼もしく、愛おしいこと。 素直におどろくことのできる王さまも、 滑稽ながらにくめません。 きっと、王さまは今ごろもまた、 けらいたちに支えられながら、何かあたらしい「おおきなもの」を 考えついているのでしょうね。 そして、チューリップはチューリップで、愛でるのでしょう。 人間だって、柔軟さと頑固さを、バランスよく持っていますもん。 「おおきなもののすきなおうさま」 安野光雅 作 講談社 1680円 |
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