日本の絵本 <
くいしんぼうのはなこさん
わたしは、ほんとうに、たべることが大好き。

くいしんぼうなのです。

くいしんぼうというと、まだ、かわいらしくもありますけれど、
実をいうと、とても食い意地がはっているのです。

ときどき、はずかしくなるほどですが、
自分でも、どうしようもなくて、困ります。

くいしんぼう、で、とどめておかないと。
ね、はなこさん。


愛すべきくいしんぼうの、おはなしです。



百姓さんに、かわいがって育てられた
はなこさんは、とてもわがままな子牛でした。

あれは、いや、これも、いやと、
ごちそうばかり食べていたので、むくむくと大きな
ぴっかぴかの、立派な子牛なのでした。

春になり、たくさんの子牛たちと一緒に
牧場にあずけられることになった、はなこさん。

お百姓さんは、これで、わがままも
なおるだろうと思いますが、とんでもない。

立派な体格のはなこさんは、牧場でもいちばんの女王になり、
ほかの子牛をひきつれて、さらにわがまま放題なのです。

ところが、ある日、その食い意地があだになり、
はなこさんが、たいへんなことに・・・

     ・    ・    ・

たいへんなわがままっ子の、はなこさんですが、
ちっとも憎らしくなく、むしろ愛すべき子牛として届くのは、
紡ぎだす石井桃子さんの言葉が、
やさしさや慈しみをたっぷりとたたえているからでしょう。

はなこさんにも、ほかの子牛にも、人びとにも、
それから、読んでいる、子どもたちに対しても。

中谷千代子さんの絵も、石井さんのことばと、そっくりだと思います。

そして、この、品のいいユーモア!

なんて、こころが、気持ちいいのでしょうね。


わたしの、食い意地、どうにかしたいけれど、
はなこさんを見るたび、はなこさんはかわいいし、まぁ、いいか・・

となってしまうところだけ、ただひとつ、困ります。


「くいしんぼうのはなこさん」

石井桃子 文 中谷千代子 絵
福音館書店 1050円