外国の絵本 <
私の船長さん
今宵、バレンタイン・ディ。
この窓のそとにも、きっと、ドラマや、
ドラマになれなかった想いが、漂っているって、想像します。

いいな、こういう日。




だれよりも静かで寡黙でありながら、
だれよりも豊かに感じるこころ、そしてそれを表現する力を併せ持つ
そんなゴフスタインの、小さな人形の恋の物語。


ユーモラスで、想像力に富んだ、木製の小さな人形ー彼女は語りはじめる。
「私のいる棚の下の窓わくに、一艘の漁船がいかりを下ろしている、
そこからは潮の香りがただよってくる・・・」
彼女は思う、その船の船長が、いつか自分に会いにあがってくるのではないかと。
彼女のここちよい生活に欠けているただひとつのものーロマンスと一緒に。
彼女は思う、大好きな犬や貝のコレクション、こだわって選んだ調度品、
おいしそうなせっこう細工の食べ物たちは、船長と共有することで、
いっそう、その価値が高まるのだと。


          ・・・カバーの折り返しにある、まえがきより


そう、これは小さな木彫りのお人形が、
窓わくのうえの船の置物を眺めながら、
くる日もくる日も想いを馳せる、想像の恋の物語です。
片思いのおはなし。


胸がしめつけられるような・・でもなく、
切なく焦がれるような・・でもなく、
相手を想うだけで幸せな気分になるような、おだやかな、片思いのおはなしです。


ゴフスタインの静かであたたかな文章は、
恋にすっかりなれてしまった気持ちを、謙虚な気持ちにもどしてくれます。


いつまでも、恋をしていることに、
胸をはっていられるといいなと、思います。



”私の船長さん”
M.B.ゴフスタイン 作 谷川俊太郎 訳 ジー・シー・プレス



ゴフスタインの本  生きとし生けるもの
          ゴールディーのお人形