外国の絵本 <
おじいちゃんの口笛
スタルクの物語の主人公の男の子たち(ときどき、女の子も)は、
いつも、前ばかりをまっすぐ見て、
つまずいたり、自分の力ではどうしようもできないことを経験して、
受け入れたり、乗り越えたり。

いじましいほどのまっすぐさに、なんだか切なくなる。

でも、そこに向けられるまなざしが、このうえなくあったかくて。
すごーく、味方っていう感じがする。

それから、スタルクの物語は、いつも、
文章の隅々までユーモアがいきわたっていて、しゃれています。
登場人物が、好きで好きでたまらなくなります。



ウルフのおじいちゃんの話を聞いて、
自分におじいちゃんがいないことを悔しがる親友のベッラに、
「おじいちゃんを手に入れられるところなら、しってる」
と、ウルフがつれていったのは、老人ホーム。

そこでみつけたおじいさんと、ふたりの、
とぼけていて、
ユーモアに満ちた、
とても人間味のある、
ひとときの友情が描かれます。

にわか仕立ての、おじいちゃんと孫。
出会う前からお互いを必要としていたふたりは、
ごっこ遊びのわくを超えて、
(ベッラにははじめからごっこのつもりなんてそうそうなく、
 真剣そのものなんですが・・)
気持ちを通わせていきます。

なにがいいかって、

想い合うのに妥協なし!な、3人の関係。

タイトルにもある、口笛は、その全力投球さゆえに
思いがけない悲しい結果にたどりつくのに、
そう思うわたしの心とは裏腹に
「とにかく、おれたち、たのしかったよな」とベッラがつぶやけるのは、
渡しそびれた気持ちがないから。

そして、おじいちゃんのことを、信頼していたから。

想いでつながる、すごくシンプルな関係が、
どうしてこうも、まぶしいんでしょう・・

       ・・   ・・   ・・

もうひとつ、絵本の中に印象的に登場するのが、凧です。

さいごに凧を舞い上げる風が、
ふたりを一歩前に押し出すように、かなしいのにさわやかで、
パタンと本を閉じた後、じんわりと前向きな感情がわいてきます。



「おじいちゃんの口笛」
ウルフ・スタルク 作  アンナ・ヘグルンド 絵 菱木晃子 訳 ほるぷ出版