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ムーミンパパ海へ行く



トーベ・ヤンソン 作
小野寺百合子   訳

講談社青い鳥文庫

704円


318P


みんなはいつでもなにかやっていました。
しずかにやすみなく、むちゅうになって、
自分たちの世界を形づくっている一つ一つの小さなことがらに、
取りくんでいたのです。その世界は、
まったく自分たちだけでつくりあげているもので、
外からはなにもはいりこむ余地はありません。
ちょうど、すみからすみまでわかっている地図のようなものなんです。
どこにも人が住みついて、一にぎりほどの地面ものこされていないのです。


みんなはおたがいにささやきあいました。
「パパときたら、いつでも八月になると、山火事の話をするんだね。」

                  (第1章)

ムーミンパパは、ため息をついて、灯台をぐるっとまわると、
海を見おろせる岩山の方へいきました。
そこは、ほかの岩から見えない場所でした。
ムーミンパパだって、ときには家族のものが神経にさわるのです。
ーなにしろ、みんなはちっともこらえ性がありませんでしたものね。
(ーどこの父親もこんなめにあうのだろうか。)
と、ムーミンパパは思いました。

                  (第2章)

「もうつりはやめたよ。」
と、ムーミンパパはこたえました。
「じゃ、ほっとしたでしょ。
 あまり長くつづけると、うんざりしちゃうものね。」
と、ちびのミイはいいました。
ムーミンパパはおどろいていいました。
「まったくだ!すっかりいやになっちゃったのさ。
 どうしてそのことに、自分では気がつかなかったんだろな。」

                  (第5章)